「小人のパレード」演奏ポイント1 場面変化を大事に弾く

今月は、福島道子作曲「小人のパレード」を紹介しています。

私がこの曲を演奏するにあたってのポイントだと考えていることの1つ、

「場面変化を大事に」

ということについて、今回は詳しくまとめていこうと思います。

⇩音声でも聴いていただけます。

そもそも何を表した曲?

(音声:16秒~2分05秒)

「小人のパレード」という題名のつけられたこの曲。

そもそもどんな情景を曲にしたものなのでしょう?

題名のつけられた曲は、それを考えることがまず大事ですね。

題名の通り、「小人がパレードしている」という情景が思い浮かぶのですが、もう少し具体的に考えていきます。

  • 誰のパレード?
  • どんなパレード?
  • 自分はどこにいる?

などなど・・

私が考えたのは・・

  • 小人の国の王様の誕生日を祝うパレード
  • お祝いのためのパレードなので、とっても華やかで賑やか
  • 自分も小人の世界の住人で、パレードを楽しみに観に来ている

こんな風にイメージを膨らませました。

そして、

パレードが近づいてきて通り過ぎていく様子

というストーリーが定まっていきました。

作曲者:福島道子さんの言葉

この曲が入っている『いろえんぴつならんだ』(カワイ出版)には、全曲それぞれに作曲者からのメッセージが載せられています。

福島道子さんのメッセージ、他の方々と比べて格段に長いんです!

その中から、曲のイメージを膨らませるヒントになりそうな部分を抜粋します。

小人さんの国だって、どこかにあるかもしれませんよ。夜空の星のかなたから、地上にかかる光の橋を渡ってきた小人さんたちが、あなたの寝ている枕もとを行進しているかもしれない。異次元の秘密のドアがどこかにあって、別の宇宙からやってきた小人さんたちが、屋根の上を跳びはねているかもしれない。本当はいるのに、私たちに見えていないだけだとしたら?

引用:『発表会用ピアノ曲集 いろえんぴつならんだ』「作曲者から」 より

長い文章のちょうど中間部分を抜粋しているのですが、前後の分も含めて、

見えないものにも想像力を働かせて演奏してみよう!

という気持ちが伝わります。

こういった言葉も参考に、練習を進めながらだんだんとイメージを膨らませていって、最終的には、より具体的なイメージを決められるとよいと思います。

各場面ごとのイメージ

前回の投稿で、

この曲は7つの場面に分けられる

と書きました。

私がそれぞれどんなイメージを持ったのかをまとめていきます。

前奏

(音声:2分49秒~3分34秒)

まず、前奏の2小節。

まさしく「前奏」。これから曲が始まりますよ!という合図のような部分ですね。

この部分、強弱記号は「mp」。そして「cresc.」も書かれています。

そして、音は高い方から順に下がってきていますね。

ちょうど行進をするようなリズムにもなっていますよね。

といったところから、

パレードが見えた!だんだん近づいてくる!

というドキドキ感をイメージしました。

A楽節のa

(音声:3分35秒~4分56秒)

次に、メインとなるメロディーが始まります。

この曲全体のイメージを伝えるような部分ですね。

強弱記号は「f」になっていますが、左手のリズムは4拍子の拍子に合わせていて、メゾスタッカートになっています。

後半に再度同じメロディーが出てきますが(A’の部分)、イメージは全く違います。

この曲はこんな感じの曲です、ということを伝えるような意識で、

大きな音になりすぎず、元気良くしすぎず、やわらかい印象で

弾くようにしました。

A楽節のb

(音声:4分58秒~5分54秒)

左手メロディーのある4小節の部分です。

この左手のメロディーは、王様が近づいていることを伝えるファンファーレのような意味合いと考えました。

なので、音はトランペットなどの金管楽器のイメージです。

だんだんパレードがこちらに近づいてきていて、主役である王様が近い!

というような、わくわくした感じが出せればと考えています。

B楽節

(音声:5分55秒~6分48秒)

これまでとがらりと雰囲気が変わる2小節の部分と、A’の楽節へつなげる2小節の部分です。

はじめの2小節はこの曲唯一の「p」で、ペダルを踏むようにもなっています。

王様の乗る馬車(?)の手前で、舞い踊る踊り手の人たちと考えました。

やわらかく、華やかで、流れるような

イメージをもって演奏しています。

サッと弾き方を変え、紙吹雪がはらはらと舞っているような、少し幻想的な雰囲気をイメージしています。

そして、いよいよパレードが目の前を通っていきます。

A’楽節(3つに分かれる)

(音声:6分49秒~9分40秒)

ここは、3つに分けてとらえています。

まず、はじめの3小節。

いよいよ主役の王様が目の前を通っていきます。

強弱記号は「ff」。この曲で一番大きな音です。

左手のリズムも裏拍で弾くようになっていて、スタッカートにアクセントが付いています。

力強く、堂々とした雰囲気

を出したいと考えて弾いています。

次の2小節は、また少し雰囲気が変わります。

低い音から高い音へ、流れるように上がっていきます。

ペダルも付けます。

王様の力強さだけではなく、やさしさも感じられる

そんなイメージでしょうか。

そして、最後の2小節。

再び「ff」になって、

華やかに終わり

ます。

1つのストーリーを感じられるように

(音声:9分41秒~)

この曲の私のイメージをまとめてみました。

この曲は、1つの曲の中に様々な雰囲気が出てきます。

それを私は

小人の王様のパレードが近づいてきて通り過ぎていく様子

というストーリーをイメージし、それぞれの変化を、パレードのどんな場面なのかと想像し、具体化しました。

具体化することで、弾き方の方針が定まります。表現したいことが明確になるわけですね。

あとは、その通りに弾けるよう練習を重ねていくことになりますが、より豊かに表現できるよう、弾き方を考え、深めていくことができます。

曲のイメージ、弾き方の具体化は、練習を進めながらだんだんと膨らませていけばよいと思っています。

実際に弾いてだんだんと弾けるようになっていく過程で、感じ方も変わり、こう弾きたいという気持ちも定まっていきます。

私自身、実はこの曲、始めはそれほど弾いてみたいと感じるような曲ではなかったんですよね。

弾くごとに魅力にはまっていったという感じです。

なので、まずは弾いてみるというのが大事、と経験上感じています。