今回は、ストリーボッグ作曲「すみれ」を紹介します。
ちょうど今すみれが咲く季節なので、この曲にしました。
曲調はワルツ。
美しく軽やかにダンスしている様子が、可憐なイメージのすみれにぴったりな感じですね。
この曲は、いろいろな併用曲集に収載されています。
私が今回使用したのは、『ブルグミュラー併用ピアノ曲集』(ドレミ楽譜出版社)です。
他には・・
- 『夢みるピアニスト こどものピアノ名曲集』3巻(ドレミ楽譜出版社)
- 『きらきらピアノ こどものピアノ名曲集』3巻(全音)
- 『4期のピアノ名曲集』2巻(学研プラス)
- 『音楽表現練習へのピアノ小曲集 バイエル併用』(シンコーミュージック)
私が持っているものではこの4冊ですが、他にもあるかもしれませんね。
難易度はブルグミュラーに入るかな、くらいかと思います。
はじめの2冊は「バイエル終了程度」となっています。
3冊目の『4期の~~』は、ブルクミュラー前半程度。
4冊目の『音楽表現への~~』は、タイトルのところに「バイエル90番程度」とあります。
「すみれ」の基本情報
| 題名 | すみれ(La Violette) |
| 作曲者/国 | ストリーボッグ(1835-1886)/ベルギー |
| 時代区分 | ロマン派 |
| 調性 | ヘ長調 転調あり |
| 楽式 | 複合三部形式 |
| 拍子 | 4分の3拍子 |
| 速度表示 | Tempo di Valse |
小節数は132。演奏時間は2分20秒ほどでしょうか。
演奏のポイント
演奏のポイントは、次の3つだと考えています。
- 「ワルツ」のリズム
- ストーリー性のある曲の構成を理解する
- 「すみれ」のイメージをどう表現するか
まずは、なんといってもこの曲は「ワルツ」である、ということではないでしょうか。
速度表示は「Tempo di Valse(ワルツのテンポで)」となっています。
ワルツを意識して弾くことが、最も大切だと考えます。
そのうえで、すみれの可憐なイメージを表現したいところですね。
そして、「ストーリー性のある曲」だということも大切なポイントです。
複合三部形式で少し長めの曲になり、楽節によって雰囲気が変わるんですね。
それを意識して弾く必要があると考えます。
「ワルツ」の速さって?
一番大切にしたいのは、「ワルツ」だということ。
速度表示は「Tempo di Valse」となっているわけですが、速さはどのくらいと考えればいいのでしょう?
あまり深く考えず、ダンスとして心地よい速さであればいいのかな、と思いますが、一応調べてみました。
社交ダンスのワルツでは、4分音符=90くらいのようです。
これは、競技会などの規定で決まっているようですね。
かなりゆったりとした印象です。
ワルツとして一般的に思い浮かべるのは、ウィンナ・ワルツではないでしょうか。
ウィンナ・ワルツの場合、速さはだいたい4分音符=180くらいですね。
このくらいの速さが「ワルツ」と言われたときに一番しっくりくるのではないかと思います。
上に書いた「ダンスとして心地よい速さ」は、私にとってはこのくらいですね。
「すみれ」もこのくらいの速さで演奏しています。
「すみれ」の構成は?
この曲は、複合三部形式で少し長い曲です。
構成は次のようになっています。
A(a-a’)ーB(b-b’)ー間奏ーC(c-c’)ーA(a-a’)ーB(b-b’)
A,B,Cの3つの大きな楽節があり、それぞれ8小節ずつに分けられます。
B楽節とC楽節の間には、4小節の間奏があります。
C楽節のあと、D.C.(ダ・カーポ)をしてAに戻り、B楽節で終了です。
間奏のあとのC楽節はハ長調に転調していて、A、Bと雰囲気ががらりと変わっていますね。
この「間奏」はとても重要な役割をしていると考えます。
私のこの曲のイメージは
舞踏会での男女ペアの優雅なダンス
なのですが、間奏部分では
お辞儀をして相手を変え、C楽節から新たなダンスが始まる
こんな様子を想像します。
そうしたストーリーを考えながら演奏するのは、とても大事ではないかと思っています。
「すみれ」のかわいらしさはどんなところで?
小さな花でかわいらしい印象のすみれですが、そのかわいらしさをどんなところで感じ、どう表現するのか。
私自身は、
- 「ワルツ」である
- 左手はスタッカート
- 2分音符+4分音符のリズム
- 装飾音符
の4つだと考えています。
「ワルツ」のリズムもそのかわいらしさを表現する1つですね。
優雅な美しさを感じさせるリズムだなと思っています。
左手でワルツのリズムを刻むわけですが、すべてスタッカートが付いています。
それもかわいらしさを表現する部分だと感じます。
もう1つ「2分音符+4分音符のリズム」。
これは、全編通して出てくるリズムで、作曲者のこだわりを感じます。
3つ目は、B楽節に出てくる装飾音符ですね。
一番かわいらしさを感じさせるところではないでしょうか。
きれいに弾きたいところですね。
こうしたところを、この曲の特徴ととらえて丁寧に演奏することで、曲の印象が変わってきます。
まとめ
今回は「すみれ」について私が演奏するにあたって注目したことを、全体的にまとめてみました。
まずは「ワルツ」であるということ。
そして、ストーリー性のある曲なので、構成をきちんと理解して弾くということ。
そして、すみれの可憐さ、かわいらしさを曲のどこで感じられるのか、ということです。
それぞれをじっくりと考え、具体的に弾き方に盛り込んでいき、自分なりの表現を追求していくことが大切ですね。
最後に『音楽表現練習へのピアノ小曲集』に書かれている「すみれ」についての解説文を載せておきたいと思います。
編著者である小川一朗さんによる文章です。
「すみれ」は実にかわいいワルツであります。標題にこだわらずにAA’を優美にBB’を軽快に、トリオの部に相当するCC’をひょうきんに変化をつけてひくといった練習を何回も繰返している間に標題にふさわしい何かの気持を感じ得られる筈と思います。
『音楽表現練習へのピアノ小曲集 バイエル併用』(シンコーミュージック)収載「すみれ」の解説文より
音楽とはそんなもので、よく勉強して曲をすっかり自分のものにして、はじめてその曲の雰囲気を摑めるといった場合が多いのであります。ひけばひくほど、その味わいが深くなってゆくのが純美の音楽の世界であります。
*太字は原文のまま