今回は、チェッケリーニ作曲「サクランボの唄」を紹介します。
楽譜は、『発表会ピアノ小品集 ぷち あ・ら・かると』(カワイ出版)に収載されているものを使っています。
この楽譜集の難易度は、幅が少しありますが、だいたいバイエル後半からブルグミュラー25の練習曲くらいになるかと思います。
様々な国の作曲家、そして、これまであまり紹介されてこなかった曲を載せているのが特徴の楽譜集。
こちら⇩でも紹介していますので、興味のある方は読んでみてください。
以下に、全体を通しての演奏ポイントを3つまとめていますが、それぞれを音声でも聴いていただけます。
1,フレーズの対比
2,細かなアーティキュレーションを丁寧に
3,2拍子を意識した演奏
「サクランボの唄」基本情報
| 題名 | サクランボの唄 |
| 作曲者/国 | T・チェッケリーニ(生年不明~1968)/イタリア |
| 時代区分 | 近現代 |
| 調性 | ハ長調(転調あり) |
| 楽式 | 複合3部形式 コーダ付き(A-B-A-コーダ) |
| 拍子 | 4分の2拍子 |
| 速度表示 | Andantino |
小節数は62。演奏時間は1分15秒くらいでしょうか。
大きな特長は「対比」だと考えています。
同じようなリズムのフレーズが、音の高さを変えるなどしてすぐに出てくる。
こうしたことの繰り返しでできています。
それをうまく表現できるといいのでは、と思います。
全体を通しての演奏のポイント
演奏のポイントは、以下の3つだと考えています。
1、フレーズの対比
2、細かなアーティキュレーションを丁寧に
3、2拍子を意識した演奏
これらを重視して演奏することが大切だと考えています。
一つ一つについて、もう少し詳しくまとめます。
1,フレーズの対比
⇩音声でも聴いていただけます。
この曲は、全体を通して「フレーズの対比」で出来上がっているんですね。
A楽節
例えば、A楽節の冒頭部分はこのような対比になっています。

メロディーやリズムが少し変わりますが、2小節ずつで分けることができます。
強弱についても、メゾフォルテ(mf)⇒ピアノ(p)となっていますね。
次に続く4小節も、同じように2小節ずつの対比になっています。
この部分、4小節ずつの対比と捉えることもできるかもしれません。


私自身は、2小節ずつの対比と捉える方がしっくりきます。
”トン トン”とノックするような感じの特徴的な8分音符2つの音が2小節ごとに出てくるので。
A楽節は、終わりの8小節も対比していると捉えられます。
メロディーの音やリズムの変化は、A楽節冒頭の対比部分よりも大きくなってはいますが。
B楽節
続いてB楽節。
こちらも対比で出来上がっています。

こちらは4小節ずつですね。
音域が1オクターブ上がっています。
B楽節は同じことがもう1度繰り返されて、5小節の移行部分へ入っています。
どう弾くか~私の場合~
こうした「対比」をどのように弾くか。
ここは研究ですね!
A楽節はメゾフォルテ(mf)⇒ピアノ(p)と書かれているので、その通りに演奏することで違いを表現しやすいです。
一方でB楽節は強弱記号がありません。
はじめの小節に「con grazia(優雅に、優美に)」と書かれています。
というところで、私自身は「con grazia」を意識しながら、遠くから美しく聞こえてくるようなイメージで少し小さめの音で弾き、違いを表すようにしました。
2,細かなアーティキュレーションを丁寧に
⇩音声でも聴いていただけます。
この曲は、アーティキュレーションが細かく書かれています。
スタッカート、スラー、テヌートが細かく使い分けられていると感じます。
音の長さもそうですね。
一方は4分音符。もう一方はテヌート付きの8分音符、といった具合。
例えば、こちら⇩はA楽節の冒頭部分です。

B楽節の冒頭部分がこちら⇩。

短いスラー、長いスラーと細かく書かれています。
また、4小節ずつのフレーズの最後の音符は、2分音符から4分音符+8分音符になっています。
最後の8分休符は大事ですね。
伴奏部分も8分休符になっていますので、きちんと休なければいけないです。
この一瞬無音となる間をとることで、聞く人にはっきりと区切りを示し、曲へ引き付けることにもなります。
3,2拍子を意識した演奏
⇩音声でも聴いていただけます。
3つ目は拍子についてです。
この曲は、2/4拍子です。
2/4拍子は、楽譜上は4/4拍子で書き表すこともできます。
でも、2/4拍子なんですね。
この違いはとても大事だと考えます。
2拍子:強 弱 |強 弱・・・
4拍子:強 弱 中強 弱 |強 弱 中強 弱
拍子の強調具合はこのようになりますね。
「強」が2拍ごとに現れる2拍子の方が、前へ前へ進んでいく力が強い。
4拍子よりもスピード感を感じられるのではないでしょうか。
このことを、意識的に演奏に表してくことが大切です。
この曲の速度表示は「Andantino」です。
意味は、「Andanteよりやや速く」。
歩くような速さよりも少し速く、ということになりますね。
同じ「Andantino」でも、4拍子より2拍子の方がスピード感のある演奏が求められるのではないでしょうか。
こうした「拍子」も、楽譜上から読み取ることのできる曲の情報ですね。
曲のイメージを左右する、つまり「表現」を左右する重要な情報ということになります。
今回は、全体を通して、演奏上大事にすべきと考えるポイントをまとめました。
各楽節についても、改めてまとめますので、今しばらくお待ちください!
お読みくださり、ありがとうございました。
