鍵盤感覚を養って「跳躍」をスムーズに

前回は、紹介した曲に出てくる「跳躍」の形を取り上げて、弾き方をまとめました。

「跳躍」にもいろいろなパターンがありますが、共通して大切だと考えるのは「鍵盤感覚」です。

今回は、「跳躍」の観点から鍵盤感覚を身に付けることを考えてみたいと思います。

鍵盤感覚と跳躍

「鍵盤感覚」というのは、鍵盤の並びや離れ具合を見て確かめなくても分かる感覚ですね。

鍵盤感覚が身に付いていれば、鍵盤、つまりは弾いている手を凝視しなくても弾いていけます

初めて弾く曲など、楽譜を見ながら同時に弾いていくことができ、練習が効率よく進められます。

そして、跳躍部分を弾くときも、鍵盤感覚があれば鍵盤の場所をいちいち目で確認しなくても弾くことができます。

跳躍の形や程度にもよりますが、”ガン見”しなくても弾けるのは確かですね。

曲を演奏しているときは、楽譜を見るにしても暗譜で弾くにしても、次の音、次の音と先へ先へ考えていかなければいけません。

跳躍しているからといって、そのことだけに囚われているわけにはいかないですよね。

そういったことからも、跳躍する鍵盤を凝視しなくても弾けるのは大事なテクニックです。

「跳躍」のための鍵盤感覚を養う

⇩動画でも観ていただけます。

それでは、「跳躍をスムーズに弾くための鍵盤感覚」ということで、その練習法をまとめてみたいと思います。

意識的に「アルペジオ」を

「跳躍」をスムーズに弾くことを目的に鍵盤感覚を身に付ける練習としては、「アルペジオ」を取り入れるとよいと考えています。

アルペジオは、ハ長調であれば1オクターブを「ド・ミ・ソ・ド」と弾いていきます。

それを、最低でも2オクターブを往復で弾きます。

大きく飛んだ音を弾くわけではないですが、隣の音を弾く部分は全くなく、次々と止まることなく飛ぶ音を弾くことになります。

そのため、

  • 隣同士ではない音の鍵盤幅の感覚をつかむことができる
  • 1オクターブの鍵盤幅の感覚をつかむことができる
  • 手を開いて弾く手の感覚をつかむことができる

この3つの感覚が養われるのではないかと考えています。

隣同士ではない音の鍵盤幅の感覚

1つ目の「隣同士ではない音の鍵盤幅の感覚」について。

ハ長調の場合は、「ド・ミ・ソ」を右手では1・2・3の指で弾きます。

隣り合った指で1つ飛びの音を弾いていくことになります。

ドからソまでは音が5度離れていますが、指は1・3と1つ飛びで弾くことになります。

そして、ソから上のドまでの4度を指3・5と1つ飛びで弾きますね。

左手の場合も同じような状況になります。

弾くべき鍵盤の幅に指を合わせていく作業が、次々繰り返されるということになります。

1オクターブの鍵盤幅の感覚

こうした動作は、1オクターブの感覚を養うことに結びつきます。

ドからドまで、8度の音程を手を開いて弾くことになりますね。

どのくらい広げ、どのように動かせば1オクターブを確実に弾くことができるのか

繰り返し弾くことで、この感覚がしっかりと身に付きます。

手を開いて弾く手の感覚

隣同士ではない音を手を開いて次々と弾いていく

こうしたアルペジオを繰り返し弾くことで、広い音域を弾く際の鍵盤感覚が養われると考えます。

そして、指くぐりをして2オクターブ、3オクターブとさらに広げることで、指くぐり等をした後の適切な手の動きも養われますね。

指くぐり等をすると、それまで弾いていた状態と手の形が大きく変わります。

それでも離れた音を適切に弾いていけるか。

これができるかどうかは鍵盤感覚だけの問題ではないですが、瞬時に鍵盤の場所を把握できるかは大いに関係あることですね。

こうしたことが、1オクターブを超えるような大きな跳躍を、適切に弾くための基礎になると考えます。

アルペジオを弾くときの視線は?

⇩動画でも観ていただけます。

いくら鍵盤感覚を身に付けるといっても、特に大きな跳躍の場合、鍵盤を全く見ずに弾くことは難しいですね。

見ることができない、という場合もありますが、見ることができるのなら見ればいいと思います。

視線はどのようにするのか、ということも、跳躍を弾く際に重要ですね。

では、基礎練として行うアルペジオでは、視線はどうなっているか。

私の場合を例に紹介したいと思います。

指くぐりとその次の音

まず見ているのは、指くぐりをするときとその次の音の場所です。

指くぐりをするときは、やはり手の動きが大きく変化するときなので、確実に弾くべき鍵盤を弾けるよう見ています。

そして、その次の音の場所まで確認していますね。

その後は、さらに広い音域を弾くのなら、同じように指くぐりとその次の音の場所を見ます。

戻って来る時も同じです。

全体を俯瞰して見る

具体的にどこを見るでもなく、左右とも全体が視界に入っているという状態です。

これが基本ですね。

どこかにはっきりと視線を向けてしまうと、他が見えなくなってしまいます。

アルペジオのように飛んでいる音を次々と弾いていく場合、どこを見ればいいのかという状態になってしまいます。

全体を視界に入れつつ、あえて言えば、「指くぐりとその次の音」を見る、ということになります。

慣れるまではしっかりと見る

慣れるまでは、1つ1つの音をしっかりと見ながら弾けばよいと思います。

そして、だんだん見るべきポイントを決めていき、全体を視界に入れる形にしていくとよいと思います。

目をつむって弾く、など全く見ないようにして弾くことはしなくてよいです。

必要なところは見て、見た先にきちんと指を持っていけるようになればいいわけです。

見て確認したところを外さずに弾ける、ということも鍵盤感覚です。

最小限どこを見るのか、をはっきり決めることは大切だと考えています。