ご紹介したモーツァルト作曲「アリエッタ」の中には、左で保持音を弾く部分があります。
今回は、「保持音を弾く時のポイント」についてまとめてみようと思います。
前腕の回転が重要
保持音を弾く際の基本的な弾き方は
前腕の回転を利用する
ということです。
保持音そのものの音を弾く状態で手の形を固めてしまうのではなく、回転させて他の音を弾くようにします。
「アリエッタ」に出てくる形を例に見ていきます。
⇩「アリエッタ」で出てくる実際の保持音の状況はこちらです。(保持音になる各小節の最初の音は、本来は一つの音で書きます。)
こちらは曲の冒頭部分です。今回は指番号も入れました。
この曲に出てくる保持音の特徴は
保持音以外の2つの音は同音となっている
ということです。
上に示した曲の冒頭部分以外にも保持音が出てきますが、すべて同じ状態ですね。
この部分を弾く場合、大切にしたいことは
- きちんと音を出し、付点4分音符分しっかりと伸ばしたい。
- メロディー同様、4つでひとまとまりとして切れないように弾きたい。
という2つのことですね。
どういうことかというと・・
前回もお伝えしましたが、この保持音は右のメロディーとの和声を大事にしたい音なんですね。
⇩保持音のみをメロディーとともに表示すると、このようになります。
というところでは、音をきちんと出し、右手のメロディーと同じように付点4分音符分しっかりと伸ばしたいですね。
また、スラーが書かれているわけではないですが、メロディーと同じように4つでひとまとまりととらえて、途中で切れないように弾きたいです。
そのために、「前腕の回転」を意識した弾き方をすることで、とても弾きやすくなるのではないかと思います。
「前腕の回転」とは?
(動画:3分55秒~)
「前腕」とは、肘から手首にかけての部分ですね。
そこを回転させているのは、肘関節です。
肘関節の役割の1つが
手のひらを上にしたり下にしたりしてくるっと回転させること
です。
保持音部分を弾くとき、まさにこの動きを利用するわけです。
前腕には2本の骨があります。「橈骨」と「尺骨」です。
「橈骨」は親指側にあり「尺骨」は小指側にあります。
前腕の回転は、小指側にある「尺骨」が軸になります。
今回の曲「アリエッタ」に出てくる保持音は、親指以外で弾きますね。
なので、「尺骨」を軸にした回転の動きをそのまま使って弾くことができます。
親指で弾く2つのドは、親指を動かすのではなく
前腕の回転で弾く
ということです。
保持音を親指で弾く場合はどうするの?
肘の回転は小指側にある「尺骨」で行われると書きました。
なので、「アリエッタ」にある保持音は肘による前腕の回転をそのまま使って弾くことができる、ということです。
では、保持音を親指で弾く場合はどうすればいいのか。
曲によってはそういうこともありますね。
そうしたときは、「肩関節」による回転を使います。
上腕から動かすということですね。
親指側が保持音で動かすことができない場合、前腕の回転の軸となる「尺骨」側を動かすことになります。
でも、やってみると不自然な動きになり、腕に何か違和感を感じるのではないでしょうか?
一方、肩関節を意識して上腕も含めて動かすようにすると、どこかに違和感を感じることなく弾けるはずです。
前腕の動きで弾くときも肩関節は使っています。
上腕の回転を使うときも前腕は回転させます。
主にどこを使うのか、というだけでいろいろなところを連携させて弾くわけですね。
その意識を持っておくことは、とても大切だと考えています。
まとめ
(動画:3分18秒~)
今回は「アリエッタ」に出てくる保持音を例に、保持音の弾き方についてまとめました。
保持音を弾くときは、その音を弾いている指は動かすことができない状態になります。
そのため、手首や腕などを固めてしまいがちになります。
そうすると、どこかに無理がかかりスムーズに指を動かせなかったり、コントロールができなかったりしますね。
どこかを固めてしまって無理がかからないようにするためには、腕の構造を正しく知って、連携させて弾くことが必要ですね。
私の場合は、いつも「楽に、楽に・・」と考えるようにしています。
難しいことを考える前に、とにかく「楽に弾くにはどうしたらいいか」を考える。
まずはそこから、と思っています。
参考文献:『ピアニストならだれでも知っておきたい「からだ」のこと』(春秋社)P.88~101
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