「道化師」2つの演奏ポイント

今回は、カバレフスキー作曲「道化師」を私自身が何に注意して弾いたかについて、もう少し具体的にまとめていきたいと思います。

私が大事に考えたのは、大きくは以下の2つです。

  • おどけた様子をどう表現するか
  • 強弱で変化をつける

それぞれ詳しく書いていきます。

おどけた様子を表現する

⇩音声でも聞いていただけます。

前回の曲紹介の記事でもお伝えしましたが、この曲のおどけたような雰囲気を作っているのは

同じ音が半音上がったり下がったりする変化

と考えています。

リズムは同じ。音も同じ。音域の変化もない。

でも特定の音が半音上がったり下がったりする。

私が使用した楽譜には、ピエロが玉乗りをしていて落っこちたような挿絵が書かれているのですが、こうした音の状況がまさに挿絵通りのイメージを作り出していると感じます。

スラーとスタッカートに注目

こうしたイメージをどのように弾いていけばいいのか。

注目したのが

スラーとスタッカート

です。

⇩こちらは曲の冒頭部分です。

スラー、スタッカートはこのように書かれています。

8分音符にスタッカートが付き、スラーがここで終わっています。

スラーの書かれたまとまりをきちんと意識して弾くこと。

そして、8分音符のスタッカートでパッと音を止めること。

そうした弾き方をすると、道化師のおどけて動き回る様子が伝わるのではないかと考えています。

弾き方を変える

もう一つ意識したのは、

半音上がったり下がったりする部分の弾き方を変える

ということです。

冒頭部分でいうと、♯が付いたときと♮になった時の弾き方ということですね。

具体的には、

♯が付くときは少し強めに
♮になった時は少し弱めに

という弾き方を意識しました。

注意したいのは、♯、♮の音のみに変化をつけるのではなく、やはりここでもスラーを意識します。

スラーで示されたまとまりごと、音の変化を意識する

ということです。

具体的には、

冒頭の♯の音までの3つの音は、♯の音に向かって少し勢いをつけて弾く
次の♮の音に向かうときは少し小さめにし、勢いを抑えて弾く

このような感じです。

さらに、次のスラーのまとまりには♯、♮ともに含まれています。

この部分は

一気に弾きつつ音にも変化をつける

という弾き方を意識しました。

こうした細かな変化が、曲の雰囲気を作っていくことになると考えています。

強弱で変化をつける

⇩音声でも聞いていただけます。

もう一つは、強弱で変化をつける、ということです。

この曲は、一曲を通して同じ雰囲気が続きます。

様々なメロディーの変化があって雰囲気が変わり、1つのストーリーになっている

という感じではないですね。

というところでは、弾き方によっては単調になりがちです。

そうならないための方法として、強弱を大げさにつけるとよいのではないかと考えています。

実際に楽譜上ではどのようになっているかというと。

この曲の構成は次のようになっています。

A(a-a’)ーB(b-b’)ーA’(a-a”)

強弱は、

A(a メゾフォルテ)ーB(bピアノ-b’クレッシェンド)ーA’(aフォルテ)

と書かれています。

つまり・・

メゾフォルテで始まり
Bに入ってピアノになり
クレッシェンドしてA’でフォルテになって曲が終わる。

という形です。

その変化をきちんとつけることで、同じような雰囲気が続いていても、落ち着いたり盛り上がったりする変化を感じられ、曲の流れを印象付けることになります。

それが、聞く人を飽きさせない演奏につながるのではないかと考えています。

曲の構成を把握する

強弱の変化は、曲の構成ごとになっています。

そういう意味では、曲の構成についてもきちんと把握しておくことが必要だと考えます。

例えば・・

この曲は、B楽節に入ったところでピアノ(p)になっています。

この部分を、ただ書かれている通りにピアノで弾くのではなく、

B楽節というAとは違う新たなメロディーが出てきての音の変化だ

ということを理解して弾く、ということですね。

B楽節後半のクレッシェンドについても、

再びAが始まり、曲の終わりに向けて盛り上げる過程のクレッシェンド

と意識する、ということです。

このように構成を理解して弾くことは、おのずと音に変化をもたらすことだと考えています。