今回は、『これで納得!よくわかる音楽用語のはなし』(全音楽譜出版社)という書籍をご紹介します。
正式な題名は
『イタリアの日常会話から学ぶ Viva la Musica! これで納得!よくわかる音楽用語のはなし』
といいます。
音楽用語といえばイタリア語なのですが、本来のイタリア語の意味を知らないまま、数学の公式のように決まり事として使っていますよね。
例えば・・
このように、日本語に訳された言葉をそのまま解釈して演奏します。
でも、本来はイタリアでごく普通に話されている言葉なので、もっと深い意味があったり、ニュアンスが違っていたりするんじゃないか?
そんな風に感じたことはないでしょうか。
この本は、実際にイタリアで生活する日本人ピアニストが、音楽用語が日常会話で使われている様子を、エッセイの形式でまとめたものです。
実際の使われ方を知ると、音楽用語の解釈が深まり、より演奏の際の表現の方向性が見えてくる。
そんな風に思います。
Allegroは「陽気に」!?
この本のいちばん最初に出てくるのが「Allegro」です。
速度標語の「速く」ですよね。音楽用語としては基本中の基本ともいえるものですね。
でも、イタリアでは「陽気に」「楽しい」「明るい」といった意味で使われるとのこと。
「速く」という意味では使わないのだそう。
少し文章を引用します。
実はアッレーグロには、”速い”という意味はないのです。
イタリア人はアッレーグロをふつう〈陽気に〉〈楽しい〉〈明るい〉といった意味で使います。だからイタリア人が「あの人はとってもアッレーグロ」と言えば”陽気で楽しそうな人”ということなのです。(中略)
では、なぜ音楽では”アッレーグロ=速い”という意味になってしまったのでしょうか。ちょっと陽気で楽しい時の心の状態を想像してみてください。ほら、ウキウキ、ワクワク、ドキドキ、そんな気持ちには、快活で心地よい〈速さ〉が伴っているはずです。
(中略)
イタリアでは、明るくても同時に軽さを伴わない表情はアッレーグロとは言いません。この二つの要素(明るさと軽さ)が同居していることが大切です。
(後略)
『これで納得!よくわかる音楽用語のはなし』P.17~18より
なるほど~~と思いませんか?
Allegroは、単なる「速度を速く」ということではなく、「心躍る軽やかな速さ」といったことになるでしょうか。
なぜ速いのか、といった意味まで含まれているということですね。
楽譜に「Allegro」とあった時にとらえ方が違ってきますよね。
全部で61の用語について書かれています
このような感じで、実際の使われ方を例に挙げて、目次の上では全部で61の用語が取り上げられています。
よく似た意味で使われている、などの理由で1つの章に2つの用語が取り上げられている場合もありますが合わせて1つとしています。
用語の意味のよって、
- 速度
- 表情
- 奏法
- 音量
の4つに分かれています。
どんな用語が取り上げられているのか、主だったものを挙げておきます。
①速度
全部で21の用語が取り上げられています。
最初は、上にまとめた「Allegro」です。
他には・・
- Lento(レント)
- Adagio(アダージョ)
- Andante(アンダンテ)
- Accelerando(アッチェレランド)
- Ritardando(リタルダンド)
などがありますね。
②表情
こちらは24取り上げられています。
VivaceとVivoなど、2つまとめてというものが多く、そうしたものも1つずつ数えると29になりますね。
Vivace/Vivo意外には・・
- Leggero(レッジェーロ)
- Animato(アニマート)
- Dolce(ドルチェ)
- Cantabile(カンタービレ)
- Agitato(アジタート)
などですね。
⓷奏法
こちらには10の用語が取り上げられています。
- Fermata(フェルマータ)
- Legato(レガート)
- Stacato(スタッカート)
- Tenuto/Sostenuto(テヌート/ソステヌート)
- Da capo(ダ・カーポ)
などです。
④音量
こちらは一番少なく6個です。
なので、全部載せてしまいます。
- Crecendo/Decrecendo(クレッシェンド/デクレッシェンド)
- Diminuendo(ディミヌエンド)
- Forzato(フォルツァート)
- Sforzato(スフォルツァート)
- Rinforzato(リンフォルツァート)
- Con forza(コン・フォルツァ)
各用語の最後には「代表作」が
各用語の最後のページに、その用語の特徴を表している曲が紹介されています。
ちなみに、「Allegro」で紹介されているのは、モーツァルトのピアノソナタ㎸545の第一楽章です。
ソナチネアルバムにも入っている、有名な曲ですね。
様々な作曲家、様々な時代の曲が載せられています。
ピアノ曲だったりバイオリンの曲だったり、オーケストラ曲だったりしていますね。
ホントの意味を知ると世界が広がる
いかがでしょうか?
日本語だってそうですが、1つの言葉の中に色々なニュアンスが含まれますよね。
そうしたことまで知っていると、世界が広がって、表現の方向性が見えてくる気がします。
曲を弾いているとき、どうしてここにこの用語?と思うことがあり、だんだんどう弾いたらいいのか訳が分からなくなったりして・・
音楽用語はイタリア語ってことだけど、実際どんなふうに使われてるの?
そんなことが知りたくなり、購入しました。
文体は軽やかで楽しい雰囲気で、とても読みやすいと感じます。
表現を深く追求したい人には、ぜひおすすめです。
⇩出版元の全音楽譜出版社の本書のページです。
